みしログっ!

思ったことだけ書きたい。

ぼっち・ざ・同人! ~同人音楽の人間が見た『ぼっち・ざ・ろっく!』~【きらら Advent Calendar 2022】

この記事はまんがタイムきららアドベントカレンダー 第19日目の記事になったような気がします。

adventar.org

 

今季きららMAXより待望の『ぼっち・ざ・ろっく!』アニメが放映されました。
音を作る者として見逃せないアニメになりましたが、全体的に高評価な感じで何よりです。

そんな中で自分の経験とかも踏まえて、いろいろ書いてみたいことを出していこうと思います。

 

 

自主制作音楽に対する捉え方

物語の主軸であり、回が進むにつれて成長しまくるバンド、結束バンド。

オリジナル曲を制作しており、作内ではオリジナルアルバムを作成しているような言及もありました。なかなか精力的なバンドですね。

しかも全員高校生、1年生と2年生が2人ずつという若いときからここまで精力的に音楽制作をしているというのはなかなか目を見張るものがあります。

さらにこの時点ですでに商業を見据えての曲作りをしているというのも注目点です。音楽に人生を賭けているというのも、なかなか高いモチベーションを持っているバンドなのではないでしょうか。主人公のように理由がいくらネガティブだろうとも。

 

……えーさて、隙あらば自分語りゾーンに入っていきます。

この記事に流れ着くような方の一部はご存知かもしれないですが、かくいう私も同人音楽制作を趣味としている人間であります。

音作り自体は高校時代に始まり、大学入ってすぐ個人サークル「Limpid Path」での活動を始め、最近はオリジナル曲をCDとオンライン配信とで垂れ流しているような人間でもあります。自分で言うのもどうかと思うけど若さってすごい。

商業方面に向かう気は全くなく同人で細々と曲作りしており、今度の冬コミもサークル貰っておりますが曲制作が未だに間に合っていません。助けて。

soundcloud.com

 

……宣伝タイムはこの位にしておいて。

今まで自分はロック調な曲をメインに作っている、という訳ではなく、生音を演奏できるというわけでもありません。寧ろよく言われるのがカワイイ系の曲調らしいということです。狙ってないのに。その点では結束バンドから真逆の立ち位置と言ってもいいかもしれません。

とは言え、このとおり自分も音楽をつくる身でありますので、ついついその視点でもぼざろという作品を眺めてしまうのです。

端的に行ってしまえば、曲が出来るのは楽しい、でもそれ以外は意外とキツい、ということ。

 

意外に結構やってくる生むという苦しみ

当然ですが曲を聞いてもらい、もしくは売るという行為には、まず曲を作るという作業が必要になります。

例えば長年曲作りをしていると、フレーズ自体は突然浮かんだりとかこういう流れを組み込みたいとかの断片的なアイデアなどが生まれることは比較的よくあることになります。

しかし、そんなフレーズいくつかが思い浮かぶだけでは曲になりません。フレーズはフレーズのまま。これをどのように曲に昇華させていくか、あるいは「繋がる」フレーズを作っていけるか、という点が「曲」作りで重要な点になってくるのではないかと思っています。

いろんな曲を聞きまくっている人であれば分かるかもしれないですが、この世の中の殆どの曲は、複数種類のフレーズをうまくつなぎ合わせて作られているものです。たった1つのフレーズだけで曲を作ったり、もしくは数分かけて1つのフレーズになる曲作ったりということは、ナイトは言い切れませんが非常に難しいものになるでしょう。

さて、フレーズごとに作るのが比較的楽みたいな書き方をしていましたが、まあ実際のところ普通に楽なんかじゃないです。何なら曲として成立する作品を作り上げる中ではここが一番難しいのではないでしょうか。今まで思いついてきたフレーズと「繋がるように」新しいフレーズを考えるということは容易でないことであり、それがまた作曲者としての腕の見せ所でもあるのです。

標準的な構成の曲では最低限「イントロ」「Aメロ」「サビ」くらいのフレーズは欲しくなってきます。そこに曲によっては「Bメロ」「Cメロ」「間奏」「アウトロ」などが加わってきて、それらを例えば
「イントロ」→「Aメロ」→「Bメロ」→「サビ」→「間奏①(イントロアレンジ)」→「Aメロ」→「Bメロ」→「サビ」→「Cメロ」→「間奏②(独自フレーズ)」→「間奏①(イントロアレンジ)」→「Bメロ」→「落ちサビ(サビのアレンジ)」→「サビ」→「アウトロ」
のような構成に仕立て上げることによって1つの曲を仕上げていくのです。

……もうお分かりかもしれないですが、曲という作品1つを作るためには、上記の例だと7つのフレーズ(+アレンジいくつか)が必要になってきて、その全てが問題になるような違和感なく繋がっている必要があります。手数がえげつない
(実際には他のフレーズから持ってきてうまく繋がるように調整して、ということもありえますが。自分みたいに。)

商業で音楽をやるとなると、この行為をコンスタントに仕立てていく必要があります。努力の領域もありますが、才能というのも間違いなく必要になってくる世界と言えるでしょう。商業バンドへの未知はこのような点もハードルとなりうるのです。

この難しい作業があるからこそ、曲が出来たときの達成感はまた格別なのです。自分が作った曲はいくらでも自慢できるものになっていきます。

 

金銭という現実から目を背けたい

……いや、いくら曲を作ったとしても、その曲を自慢したければ曲を公開する必要がありますし、あるいはその対価をもらいたければ「売る」という行為をする必要もあります。

確かに商業で引き取ってもらえれば、曲を「売る」ための経費だったり販売戦略だったりという点はレーベルに一任できます。もちろんその分の費用はちゃんと引かれていきます。

しかし当初の結束バンドのような自主制作音楽については、売れればその分実入りはありますが、費用も全部自分たちに振りかかってきます。

直接的な費用であればCD制作費

同人誌制作で「過大に作りまくると制作費用と在庫で死ぬ」ということを身を以て知っている人であれば、同人誌の場合は少数だと単価が高くなり、多数になればなるほど総額が段々一定の金額に収束していく……という流れが見についているかと思います。

CDの場合、「コピーCD」という非常に便利なものがあります。紙の同人誌における「コピー本」のようなものと捉えることもできますが、音楽の音質自体は変わるものではないため、自主制作音楽の世界では比較的多用されているように思えます。少数生産であれば少数なりの価格で済むため、かなり始めやすいという点はあると思います。

ただ、コピーCDの場合ほぼ完全に枚数依存の料金となってくるため、多数部制作する場合は当然それなりの費用となります。また大量にかつ盤面含めて本格的に作る場合は、プレス版による制作が選択肢となってくることでしょう。ただし、価格設定がやや特殊で、例えば同人CDプレス大手のポプルス社の場合、最低ロットが300枚で57,600円、1,000枚で65,000円と1,000枚まではほぼ定額になるのに対し、5,000枚で300,000円という価格になり、1,000枚を超えたとたんに従量に近い金額となってきます。他社で比較しても概ね1,000枚までがほぼ定額、それ以上は従量料金というところが多いようです。

www2.popls.co.jp

ゆえにCDプレスは最低ライン1,000枚が相場なのでは?という考えになるかと思いますが、当然売れなければ、当然みんな大好きなトラウマ「在庫地獄」が誕生します。1,000枚売れるとの確信があれば別(どうぞご勝手に)ですが、作りすぎも考え物になってくるのです。

まあコピーCDであれば安いかと言われれば必ずしもそうとは言い切れない部分もあります。

当サークルがお世話になっている協和産業社の場合、CDコピー自体は100枚で6,700円となります。安いように見えますが、ここでの罠は盤面印刷等が別料金ということ。例えばカラー盤面印刷をするとなれば、ここに(100枚)6,200円が降りかかってきます。さらにケースももちろん別(ジュエルケース100個で3,400円)ですし、ジャケットの印刷などもやってくるとするとそこそこの金額になってしまいます。単純にCD等の原価だけで単価200円以上はしてます。

www.kyowainet.co.jp

 

さらにバンドでの収録となれば当然スタジオでの収録となりますので、その費用も必要になります。更にライブステージに立つとすれば、駆け出しのバンド等なら原作やアニメでも描写されていたようなライブハウスのチケットノルマも発生することになります。(ちなみに同人作者だとイベント参加代やその付随費用がこの辺りに相当してきますね)

もちろん機材もちゃんと揃えなければ演奏もできませんし、演奏したデータを編集してマスターCDを焼くにはPC等も必要になってきます。

さて、ここまでで合計いくら掛かったでしょう? 自分は途中から数えるのをやめました。

 

曲は時間を割く、ゆえに知らない人の曲は売れない

ところで皆さん(皆さんが同人誌を出している前提みたいな言い方)、同人誌ってどうやって宣伝していますか?

Twitterに絵を流したり、Pixivで予告を出したり、あるいは表紙買いなんてのもあるかもしれないですね。絵は一瞬でも目に入れば全体像が一気に情報として入ってくるので、比較的時間をとらずとも魅力は伝わってくれるものでしょう。

……そうじゃない!みたいに絵師さんから怒られたり変な言い方になっていたらすみません。

言いたいことは、音楽にはどうしても時間という要素が必要になるということ。

どんなにいい音楽があったとしても、それが「いい音楽」であると伝わるまでには少なくとも数秒かかってしまいます。感覚で音楽を音楽と認識できるまでには時間がかかりますし、そこからどんな音楽かというのを聞き、そしてそれが自分の好みになるか……ということを短い時間だとしても考えていくことが必要になってきます。

そして今のSNS時代、音楽も数を稼いで多数聞き流されていく時代になってきています。「普通の曲」であれば記憶にさえ残らない、もちろん知名度や売り上げになどなおさら……という世界になっていきますから、「時間を掛けて聞いてもらう」ことがこれまで以上に重要になってきています。ただ知らないアーティストの局なんてあんまり聞いてもらえないから……の以下無限ループです。そのため、音楽を聞いてもらえる、という第1ステップに立つための努力が非常に重要になってきます。

結束バンドの場合、メンバーの親戚が経営するライブハウスというこれ以上にない環境があるので、ここは大変に恵まれている(ついでに普通の音屋とかなら普通に嫉妬する)環境だと思います。そうでなくても、例えば今の時代であればYouTube/SoundCloudとかで無料公開するだとか、何か他の作品とタイアップして流してもらうだとか、そのような手法をとっている音楽関係者は、最近では自主製作に限らず大手レーベルにもかなりよく見受けられる傾向だと思います。

更に言うと、同人誌などの絵による作品の場合は表紙や裏表紙のアートワークについても基本的に自分で用意することができます(装丁をプロに任せるという手段もあるはあるのですが、それはそれとして)。対して音楽をメインで活動している人間にとってはイラスト等は全く別の庭になります。ただ、それが無いと「人を音楽に引き留めるためのビジュアルが無い」状態になってしまいます。動画などだとしても、その背景だったりサムネイルで興味を持ってもらえなければ、視聴者は選んでくれません。

音楽を売るのに見た目を重視しなければいけないというのも冷静に考えれば不思議な話のようにも思えますが、ただ現実として見た目の強さが必要になっているのも確かです。

 

そもそもCDで出すのが間違いなのではないだろうか

音楽のデジタル化は、イラストだったり漫画だったりといったもののそれより遥かに前よりあった流れでした。「CD」という媒体です。

電子書籍化が2010年代ごろから流行していたのに対し、CDは1980年代に登場後、かなり早いペースでレコードというアナログの媒体を淘汰し、90年代の半ばを過ぎれば既に主要な音楽流通の手段となっていました。Windows95の流行や2000年代のiPod/iTunesの流行以降、パソコンでのCD利用も順次普及していき、音楽とコンピューターは利用者側にしてもかなり密接に関わりのある存在になっていました。

しかしこの「デジタル」は、書籍などほかのメディアのデジタル化とは性質が異なっていました。2000年代のブロードバンド化の傾向でインターネットでも大容量のデータが取り扱えるようになり、上記の電子書籍化等もこれを前提としたオンラインによるコンテンツ供給となっていました。それ以前よりあったCDというメディアは、ご存知の通り物理的に形を形成し、その盤面にデジタルデータを収録していますので、デジタルではあるが物理というなかなか不安定な立場にいる存在でした。(この話をするとパソコンゲームとかもそうですね)

音楽にとってもインターネット化の波は例外ではなく、例えば日本だと真っ先にFlash動画で寝た曲が流行り、YouTubeニコニコ動画などで多くの音楽が動画として投稿されてきましたが、それでも音楽を売る手段といえば多くがCDでした。CDをパソコンで取り扱うのにはリッピングという手間も必要になります。

しかしiTunesIPhoneの爆発的流行の後、音楽についても電子販売が段々と躍進を見せるようになってきました。スマートフォンでは音楽はストリーミングやダウンロードをして聞くものになっていますし、小型PCやタブレットにも今やCDドライブを付属しているものはそんなに多くなくなってきているのではないでしょうか。

加えてインターネット音楽の世界では、2010年代後半以降Spotifyに代表されるような「サブスク型ストリーミング」という形態が一気に躍進していきました。定額の範囲内であれば契約のある音楽レーベル・アーティストの曲がいくらでも聞き放題となっていったのです。

……長々と話しましたが、先ほどの話題にも通ずる通り「知らない人の音楽は聴かれない」時代になってきており、さらに言えば「知らない人のCDがあってもすぐ買おうとは思えないし、買ったところで聞く手段がない(orどうせリッピングが面倒)」という時代になっているのです。ますます音楽CDは肩身の狭い時代となってきました。

こんな中で自主音楽のバンドも同人音楽も引き続きCDでやっていくのか?というところになってきます。結束バンドも自主CDを制作していましたが、それもこれからは通用していくのか?というのが今後の自主製作、そして同人音楽の全体の課題となってくるように思えます。

蒐集欲を満たすという意味合いでは物理媒体という優位性もありますが、実際ネット発のアーティストというジャンルの活躍も目覚ましい昨今、蒐集性と集客性という2つの視点は相容れないものとなっているかもしれません。
(そう考えるとguiterheroさん中学生で動画音楽投稿というジャンルに目覚めてるの先見性が高いなぁ……)

 

自主制作音楽と結束バンドの展望

ここまで長々と書いてはみましたが、結局のところ大変なことをして急に変わっていく世の中で、自主制作の音楽という本当に地道な環境からプロのバンドになりたいという決意をしてそれに突き進んでいく結束バンドという存在の強さが改めてうかがえると思います。

自主制作の音楽やバンドも、我々のような同人音楽も、一歩先を見据えて動いていくというのはなかなかに大変ではあります。そんな中でも自分で作った曲の面白さ、ファンの存在の心強さ、そして音楽制作という活動の熱さを知っている人間だからこそ見える光景があるのでしょう。

これから自分も音楽を楽しんでいき、それと同時に結束バンドの将来も見守っていければと思っています。

17年越しの想いを込めて、「安全」を得た街 ~東武竹ノ塚駅の全面高架化初日レポ~

2022年3月20日東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)竹ノ塚駅周辺の線路が全面的に高架化されました。

これにより、地元みんなの17年越しの想いがついに形となったのです。

 

竹ノ塚駅の高架化初日を取材しましたので、画像とともに記事として書き記していこうと思います。

 

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きっかけは、平成期の大事故

2005(平成17)年3月15日、竹ノ塚駅すぐ南で、当時手動だった踏切制御の手順誤りにより、通行者4名の方が死傷する踏切事故が発生しました。

東武伊勢崎線では、北千住~北越谷間の複々線化事業とともにそのほとんどの区間で連続立体交差事業も推進されていましたが、竹ノ塚駅周辺のみ南側にある営団地下鉄東京メトロ日比谷線の検車区(現・東京メトロ千住検車区竹ノ塚分室)との兼ね合い上高架化がされず、竹ノ塚駅周辺のみ南北合わせて2個の踏切が残存されていました。

事故後地元では急速に踏切除却の機運が高まり、2011年遂に足立区主導のもと竹ノ塚駅付近の鉄道高架化が都市計画決定されることになります。事故から7年7か月の期間での都市計画化は異例の速さともいわれました。
この時系列については足立区議会の「交通網・都市基盤整備調査特別委員会報告資料」に詳しいです。

www.gikai-adachi.jp

 

その後、完成時期の変更などこそありましたが、2016年5月に下り急行線が高架化されたのを皮切りに、2020年9月には上り急行線が高架化、そして今回2022年3月の緩行線高架化、つまり竹ノ塚駅周辺の全面高架化と踏切完全除却を迎えることとなったのです。

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2016年5月の下り急行線高架化直前の画像(2016年5月28日撮影)。当時は特急スペーシアも踏切を通過していた。

 

今回の高架化は夜間の一部旅客列車の予定運休を伴う大規模事業となりました。
ただ、結果としてその翌朝の初列車には影響を及ぼすことなく、無事3月20日の高架開業を迎えることができました。
ここまで、踏切事故から17年と5日間のことでした。

www.tobu.co.jp

 

新しくなった竹ノ塚駅を見る

ここからは、今回の高架化により新しくなった竹ノ塚駅を見ていこうと思います。

 

竹ノ塚駅は高架化事業の進展に合わせてその姿を大きく変えてきました。

元々は東口の駅ビル「TOSCA」に接続するようないわゆる「古い東武の雰囲気」を持つ橋上駅でしたが、その後は2017年8月に緩行線仮線切替とともに仮設地下駅舎となっていました。

 

今回高架化に伴い、駅も高架ホームと地上駅舎に新たな装いをしてオープンしました。

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今回の新駅舎・ホームは、凄く竹ノ塚っぽくない(良い意味で)綺麗な駅に生まれ変わりました。

ホームとコンコース双方とも木を基調としており、優しい雰囲気を感じ取れます。

特にトイレはベビーベッド・子供用トイレや木製の長いベンチもある非常に広い空間を有しており、また外光も差し込む明るい雰囲気となっていました。(さすがに中までは写真撮れなかったです。許して。)

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今回の竹ノ塚駅では、新しいサインシステムの使い方も特徴的でした。

番線標は東武スカイツリーライン愛称設定時以来の路線名記載とラインカラーを附した従来型のものではない、新しいデザインのものが採用されていました。
また、背景も従来の青よりさらに落ち着いた紺色となっており、目に優しいデザインになったともいえるのではないでしょうか。

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コンコース階では吊り下げ式の看板ではなく、柱や壁を利用してサインを記載する新しいスタイルとなっていました。
日本語フォントについても従来東武が使用してきた新ゴとは異なる書体(おそらくUD新ゴ?)を採用し、新しい東武のサインデザインの形を提案しているように思えます。

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駅改札は自動改札の横にシースルー型の改札通路室を設置。
また、改札前にはLCD型の発車標も用意されていました。こちらの見た目は従来の東武駅のものと変わらないようです。

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ホーム上の発車標については野田市駅などでも採用された表示形態の、マルチカラーLEDを使用し列車接近時には黒地赤文字・赤地白文字の表示を繰り返すスタイルとなっていました。

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今回の高架化のタイミングとは外れますが、4/16からはホームドアの稼働が開始される予定となっており、装置自体はすでに準備がされている状態となっていました。

ちなみにホームドアは7両のみ対応で停車位置目標も7両のもののみ。
ホーム有効長自体は一応(20m車)8両分はありそうでしたが、仮に地上車8両編成の普通列車を復活させるとするとホームドアの付替えを含む大規模な工事が必要と予想できます。
このため、今後は緩行線では日比谷線直通用の7両編成のみで運行していくのではないかと考えられます。
(そもそも新越谷駅ホームドアとかも8両対応していなかった覚え。)

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放送装置では、下の画像で手前のスピーカーが自動放送用、奥が発車放送用と、用途によりスピーカーの使い分けがされていました。
ちなみに接近放送は既にホームドア対応型(英語放送なし)、発車放送は新上下本線型のチャイムを2ターン1コーラス流すパターンでした。

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街の姿と踏切の痕跡

今度は駅を外から見てみます。

東口側では駅舎真上の当たりの高架部分はガラス張りとなっており、こちらも明るい駅のイメージを持たせる存在となっていました。

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ちなみに旧駅ビルのTOSCAと併せての写真も撮ってみました。
新旧竹ノ塚駅の時代の移り変わりを対比することができると思います。

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前日まで使用されていた地下通路には明かりは灯されていましたが、既にその入口は完全に封鎖されていました。

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旧地上ホームに至っては完全に使用されていないのは当然、一部(画像奥)については西口連絡通路の造成のために、既にホーム構造自体が取り除かれている個所もありました。連絡通路を通るだけではわかりにくいかもしれませんが。
また、信号機等についても旧線部分については点灯していない状態となっていました。

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除却された後の踏切部分についても見てみたいと思います。

駅北側の踏切は元々高架化の進展に伴い、歩行者・自転車用の狭いものとなっていました。
踏切除去により、歩行者も自転車も立ち止まる必要なく通路を通過できるようになっています。
昨日まで地上を走っていた普通電車が走っている真下を自転車が通るという光景が、まさに高架化を象徴するような写真ではないでしょうか。(個人的にはそう思ってます。)

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踏切標識や遮断器はすでに撤去されており、象徴的な黄色と黒のストライプは踏切装置としては存在していませんでした。
また、線路部分には板が敷かれており、車輪がはまったり歩行者が躓いたりしないよう配慮がなされていました。

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続いて南側の踏切跡を見てみます。
こちらの踏切は竹ノ塚の「大踏切」とも呼ばれており、北側の踏切とは違い自動車も通行可能となっており、交通量が比較的多い道路との交差をしていました。
また、高架化のきっかけとなった踏切事故もこちらの踏切で発生したものです。

こちら側も踏切機器等はすでに撤去されていました。
また、踏切の廃止により一時停止がなくなったため用途を失った自動車用の停止線も、黒く塗りつぶされていました。
まだ慣れてないせいか、踏切跡直前で一時停止している車も数台見かけました。
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この踏切についても、線路後の部分には歩道部分のみですが板が敷かれていました。

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踏切の近くには下記のような張り紙もありました。
自動車の一時停止が無くなることにより、今度は横断者がいても自動車が止まらなくなる可能性が高くなったものと思われます。
元々高架化前からこの踏切前後には横断歩道等はありませんでしが、少し先には歩行者横断用信号も設置されているため、こちらを横断するのが本来安全なようです。

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取材中に印象的な光景を見つけたので画像を。
緊急走行中の救急車も、ここを止まることなく通過していきました。f:id:mishina-mnt:20220320225125j:plain
今までは踏切で一時停止と列車通過時はその間の停止が必要となっていたところ、高架化によってその必要もなくなったのです。
高架化がもたらす街への効果は、踏切事故のリスク除去のほか、このような緊急車両を含む道路交通の円滑化にも見えてくるのではないでしょうか。

 

「安全」を街の新たな魅力に

踏切事故のあった竹ノ塚駅南側の踏切すぐ近くには、このような銘板が残されていました。

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ここに記されていた歩道橋自体は、前述の駅舎地下化と地下自由通路供用開始に伴いその役割を地下通路へと譲りました。
ただ、銘板自体は残された状態となっており、この悲惨な事故の存在を忘れさせない存在となっていました。

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りょうもう号の真上にあるのが供用当時の歩道橋。(2016年5月28日撮影)

 

今回の全面高架化により、改めてその踏切事故防止という重要な目的は、踏切除却という形で完全に達成されることとなりました。
まだ引き続き後工程があるとはいえ、この結果に至るまでに導いてきた多くの方の想いと努力に、改めて敬意を表します。

そして今までよりさらに安全になったこの竹ノ塚という街が、その「安全」を一つの魅力として、さらに発展していくことを願っています。

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画像:すべて筆者撮影。日付のないものは2022年3月20日撮影。

 

ステラのまほう、すたーみゅーじっく論【きらら Advent Calendar 2021】

この記事はきららアドベントカレンダー2021 17日目の記事になっているはずです。

adventar.org

 

明日、きららMAX22年2月号が発売予定です。同時に、ステラのまほうの連載の歴史に終止符が打たれることとなります。

最終10巻の書影も公開されてました。

後ろのテルさんだぁ~れ?

 

ステラのまほうきっかけできららの沼にそのままズブズブ嵌っていった自分としては、どうしても見逃すことができません。というわけで、このタイミングで記事を投げてみます。

(本当は雑誌発売日を狙ってみましたが、繰上りの仕方を見誤りました。
 明日もっとふさわしい人が入ってくれたのでそっちをお楽しみに
 って言ってたら来てましたね)

ametie.blog.fc2.com

 

 

今回は、ステラのまほうに関係する音楽について、ちょっと深堀してみようと思います。

 

ステラのまほうと音楽の話、と言われてもそこそこ思いついてしまうもですが、今回はちょっと範囲を絞って書いてみます。

それは、ステラのまほうゲーム音楽です!

 

……あれ?どこにそんなゲーム有ったっけ?

みんな大好きドキドキ★ビジュアル ドットコム!!こときららWeb

www.dokidokivisual.com

の、どこのリンクから飛べるかすらもはや分からないところにあるステラのまほう(コミックス)公式サイト

www.dokidokivisual.com

の下の方、こんな感じのページから、3本ものゲームがDLできます。遠いっ!

www.dokidokivisual.com

www.dokidokivisual.com

それぞれ2014・15年のエープリルフール、2016年のステまアニメ化の際に制作されたゲームとなっています。

元々はもはや時代にそぐわずFLASHゲームでしたが、今はPC上で動作するように移植され、
当時のままに、すたーちぇいさーはさらに進化した状態で楽しむことができます。

 

さて、これらのゲームは何といっても無料のミニゲームと思えぬレベルのBGMが、その特徴の1つとなっています。

作曲者がginkiha氏、colate氏、沙野カモメ氏、Feryquitous氏、黒魔氏……いやこれ本当に無料のブラウザゲームか?

(どんぐらいすごい作曲者揃いなのかは調べてください。そっちのほうが早いです)

 

これらの音楽、実は第3作すたーらいなーのゲーム進度によって、ジュークボックスモードで聞きまくることができます。
スタンドアローン移行で聞けなくなっちゃった方も、ブラウザ版のセーブデータが残っていれば復元できるかもしれないので試してみては?(無かったら諦めて攻略しまくりましょう)

 

さて本編です。
これらの曲についてやっと存分に語っていきたいと思います。

 

 

すたーちぇいさー!
2014エープリルフール企画

 

画面から落下してくる星を集めていくゲーム。

爆弾に当たらないように、しかしなるべく高い位置(or地面スレスレ)で星を集めていくことが目的のゲームです。
時に魔剤や寝袋といったアイテムも活用しつつ、徹夜から朝の入稿に間に合わせることはできるのか……?という感じのストーリーです。少なくとも健康的ではないです。

 

さて、このゲームにはginkiha氏作曲の2曲が使われています。

 

やはり特筆すべきはメインゲーム曲でしょう。

アートコアで見事にこのゲームの背景であるアクティブな夜とマッチングしているこの曲は、この後の2作の曲の基礎を築いたと言っても過言ではないでしょう。

永遠に聞いていられるような心地よさを含めて、このゲームの緊張感と対比するような、しかし同時に融和も果たしている曲の役割は絶大です。

 

ちなみにこの曲ですがSoundCloudで無料で聞くことができます。諸々の作業向けBGMにもいかがでしょう?

soundcloud.com

さらにロングバージョンが下記アルバムに収録されているので、気に入った方はDLで購入してみるのもアリでは?(ダイレクトマーケティング)

ginkiha.bandcamp.com

 

もう1曲はその前に流れるオープニング画面曲となります。

打って変わってピアノを主軸とした大人しめの曲になっており、静寂な夜を示しているように思えます。
この後のゲーム本体への転換への期待を思わせてくれるものです。

 

すたーしゅーたー!
2015エープリルフール企画

 

シューティングゲームとなっており、たまちゃんの夢の中で繰り広げられるSNS部員たちの奇行攻撃に耐えながらステージを攻略していくゲームとなっています。

魔剤を使って装備を増やすか残機を増やすかの判断が一つの重要な攻略要素になってきます。いや魔剤に頼りすぎでは?

 

こちらのオープニング曲は前作と同様にGinkiha氏が担当しています。

進行は前作と変わらないのですが、打って変わってポップな感じの曲調になっています。
実はイラストの雰囲気もそれぞれで変わっているので、それにマッチさせてきているようにも思えます。

 

Stage1道中も同様にginkiha氏担当。こちらは雰囲気は前作に似ている曲調になっているのですが、5拍子となり始まりを思わせる落ち着いた進行で新鮮な雰囲気で感じられるBGMは、前作からの継承と刷新の始まりという両面を打ち出している曲であるように思えます。

また、同じくginkiha氏が作曲しているStage2道中は更に静けさが増している落ち着いた曲となっていますが、特に注目したいのはその中でのフレーズ。
こっそりと前作すたーちぇいさーのオープニング曲と同じフレーズが活用されており、雰囲気が全く異なりながらも共通点を見出せるような作りになっているのではないでしょうか。

 

Stage3道中の曲はテンポは引続き落ち着きながらも、こんどはポップな雰囲気の曲。colate氏作曲のこの曲は、しっかりパーカスの効いたメインフレーズまで4つ打ちメインの曲で、シンプルながらもゲーム中盤の反歌を楽しめる曲となっています。

 

ちなみにStage1・3、それにすたーらいなーのメインBGMはステラのまほうTVアニメ放映時のきららMAX雑誌CMのBGMにも使われています。
どうやらゲーム利用に加えて別途CM仕様でも許諾を得たという話らしいです。

普段だとテーマ曲か全く関係ない曲が使われているこの手のCMとしては、粋な計らいにも思えます。

www.youtube.com

ところで5年前のこのCM、紹介作品がごちうさとこみが以外全部完結してるんですが

 

Stage1~3のボスはginkiha氏が担当した共通のボス曲。電子音と16分音符を多用してボスが立ち向かっているという雰囲気を出しているように思えます。上がりの進行多めでぜひ倒してしまおう!という気にさせてくれるようです。

 

打って変わってボス前の緊張した雰囲気を出してくるStage4道中BGMは沙野カモメ氏作曲。ピアノを主体とした特徴的な導入に低音重視の進行は、ラスボス前の緊張感をしっかりと醸し出しています。特殊な攻略法のいる敵など、ステージ効果も相まってこのステージの難易度の高さを物語っています。

 

ラストステージとなるStage4ボス曲はFeryquitous氏の曲。ラスボスとしての威厳をとにかく発揮している曲となっています。攻略の難しさを表しているかのように、そのボスの存在感を限りなく強く打ち出しているものとなっています。個人的には途中で進行変わったところからがすごく好みです。はーちゃん!

 

Stage EX道中曲はginkiha氏の曲。外伝ステージらしい独特の曲の進行、特に中盤で一気に雰囲気が変わる部分は圧巻です。ただこの中にもすたーちぇいさーから伝わる遺伝子は生きているようで、緊張感を持たせつつ延長線のムードを盛り上げてくれる曲になっています。

 

Stage EXボスに登場するのはとんでもなくカオスな見た目をしたあいつ。それに合わせたかのように沙野カモメ氏作曲のBGMも目まぐるしい変化持たせている曲となっています。キャラから曲までとにかくカオスと言えますが、何ループしても飽きの来ない構成で、永遠のように長く感じるEXボスとの戦いに更に熱を持たせてくれています。

 

 

すたーらいなー!
2016TVアニメ開始記念企画

 

第3作はパズル系ゲーム。CDの木の枯渇により新作が作れなくなりそうなSNS部員たちが、願掛けのためにお地蔵様に祈りに冒険に向かったというストーリーです。いやそこはプレス業者が何とかして。

公開は2016年でしたが、この時点ではPhase2までのみの公開となっており、その後ステージ追加の形でPhase3,4が新規に公開され、最終完成まで約2年が掛かったゲームとなっています。(そういえば本編の背景ネタで「らいなー新ステージまだ?」とか自虐していた覚えが)

 

OP曲は沙野カモメ氏が担当。すたーしゅーたーのOP曲のようにハイテンポでゲームの始まりの高揚感を更に増してくれています。短いループ前提の曲とすることで、気付いたらいつまでも聞いていられるような曲になっています。

 

Phase1のステージ曲も引き続き沙野カモメ氏が担当。OPほどのポップさではありませんが、最初のステージであることも相まって楽しさを押し出した曲になっています。また、途中からはオープニングと同じフレーズが使われており、全く同じ進行でありながら違う曲調になっている面白さも見い出せるかもしれません。

 

Phase2はginkiha氏の作曲。フレーズはすたーしゅーたーのBGMにかなり似たものとなっていますが、珍しく和の雰囲気が全面に出ています。ただ和にするというのみではなく、Phase2の背景にも合わさっているように感じられ、ポップさもしっかり残しつつ、独特な世界を作り出しています。

 

EXステージはcolate氏の曲。通常ステージとは一線を画した箇所を体現するかのように、電子音を多用した大変賑やかな曲になっています。かと言って常にテンポMAXというわけでもなく、その緩急の付け方は想像以上に大きくも自然なものとなっています。

 

公開後初の追加エリアとなったPhase3。あやめが登場し、磁力ブロックも出現し始めるこのエリアは、黒魔氏のBGM。どうやらカービィシリーズの曲をイメージしたということらしく(出典どこだっけ)、ポップな曲調が特徴となっています。

個人的にはここまで紹介してきた中でもトップレベルに好きな曲です。

ちなみに本ゲームがスタンドアローン版になって、ブラウザFlash版の時とはちょっとアレンジが変わっているらしいです。
特にAメロはメインの進行が1オクターブ上がっているので気づいた人も多いかも?自分は正直ブラウザバージョンの頃の方がAメロからサビに向かって段々と盛り上がっていく感が強くするので凄く好み

こちらの曲はストアの曲のアレンジ違いともなっています。同じようなフレーズが多くありながら、片やポップなステージ曲、もう一方は落ち着いた感じの間奏曲……なかなか面白い構成だと思いませんか?

 

最終エリアとなるPhase4。歌夜が登場するこのエリアは電撃やらワープやら、これ本当にお地蔵様にお祈りする道中……?といった感じのステージになりますが、Feryquitous氏作曲のBGMはそんな不穏な感じを加速度的に押し上げてくれています。曲に合わせて頭を振りまくる歌夜さんにもぜひご注目です。

 

さらに幻の最終ステージを出現させると、そこで流れる曲は……?

まさかの曲が流れ始めますが、ここはネタバレ防止のため実際はその目で確かめてみてください。ちなみに自分は全く出現させられなかったですがYoutubeでの公式配信で聞いてます。

 

 

 ということで、今回はステラのまほうミニゲームBGMの魅力について存分に語ってみました。想像以上に豪華で、且つ全ての曲が楽しいということが伝わってればいいな〜と。

ステラのまほうの連載は終わってしまいますが、いつまでもみんなの心にSNS部がいますように!という願いを込め、締めとさせていただきます。

まあ修羅場は嫌だけどね。

 

 

【11/5追記あり】2021年11月3日、COMIC FUZは何をしてくれたのか

さて、今日は11月3日です。祝日でございます。

きらら展名古屋開幕の日でもありますね。開催おめでとうございます。

 

 

などといった素直な気持ちを今持ってる人は、こんなブログ記事にたどり着くことはないでしょう。

 

今日0時ごろ、「まんがタイムきらら」系列等の作品を配信している出版社「芳文社」の公式電子書籍サービス「COMIC FUZ」の大型アップデートが公開されました。

comic-fuz.com

 

この瞬間、TLは阿鼻驚嘆の嵐と化し、自分もつい下記のようなツイートをぶん投げてしまいました。

 

もちろんこのようなツイートをしたことについて、反省も後悔も一切ありません。

今回のアップデートはそのような気持ちにさせてくれるほど酷いものだったのです。

 

一体何が起きてしまったのか、そしてどうしてこのようなことが起きてしまったのか、思う所を順に書き連ねていこうと思います。

 

※11/5 一部追記

 

 

そもそも一体何が問題だったのか

今回のアップデートに絡んで発生した問題は、大まかに下記の4つに分けらると考えています。

まだまだ問題がありましたら(というか出てくると思うので)お待ちしています。追記するかもしれないです。

①アップデート大遅延、からの特定プラットフォームのみ非対応

今回のアップデート作業は、11/1 0時から 11/2 18時までを予定していました。

しかし予定外として、2日24時(=3日0時)に延長されてしまったのです。

 

この延長時間によって、電子書籍コンテンツのうち平日での使用時間が多くなると思われる18~24時までの時間帯で一切使用不可能となった日が、1日から2日へと延びてしまったのです。

実質1日我慢すれば再開されるはずのサービスが丸2日使えなくなったという点で、心証としてはよくないものになるでしょう。

 

さて、システムの長期メンテナンスや延長で課金コンテンツを使えなくなるというと、真っ先に思い浮かぶのは、ソーシャルゲームにおけるそれかと思います。

いわゆる「詫び石文化」に代表されるように、ソーシャルゲームにおいてメンテナンスと延長はもはや風物詩といっても過言ではないでしょう。

 

しかしソーシャルゲームには通常月額課金のようなシステムは存在しません。

メンテナンス時間中はゲームの使用はできなくなりますが、当然その間に追加での課金はできませんし、休止期間中に対して費用が掛かるといったこともありません。

 

今回のメンテナンスはその点で、ソーシャルゲームにおけるものとは意味合いが異なってきます。

すなわち、30~31日間分のコンテンツ閲覧に対して課金をしているはずなのに、そのうちの丸2日間を潰したという点で、常識的には解せない点になるかと思います。

 

問題はそれだけに留まりません。

現在、COMIC FUZには3つのプラットフォームがあります。ブラウザ版、iOS版、Android版です。

このうちAndroid版のみ、予定から21時間経過した11/3 15時時点(本記事執筆中)でも何の音沙汰もありません

公式からの声明によれば、Android版のみアプリストアでの審査が間に合っていないとのことです。iOS版ではちゃんと受かっているのに、不思議なこともあるものですね。

 

とにかくどのような理由にせよ、複数のプラットフォームで同様の方式で同等の金額でエンドユーザー向けに配信しているのにもかかわらず、その間でコンテンツ供給についての格差が生じてしまっているのは非常に問題があるように考えられます。

審査待ちの時間は余裕として含めようと思わなかったのでしょうか。AndroidからのユーザーとともにGoogleさんにもぜひ怒られてください。

 

スクリーンショットの急激な制限

電子書籍著作権と複製に関する問題は避けて通れないところが多くあります。

スクリーンショットについてもその1つとして捉えられるでしょう。

 

これまでCOMIC FUZでは基本的にスクリーンショットに対し制限はありませんでした。

これを利用し、作品を引用してのインターネット上などでの批評活動なども多々行われてきました。

 

しかしiOS版では、スクリーンショット実施時に警告画面を表示し、スクリーンショットの取得を困難にさせているとのことです。

著作権法上合法に認められている形式での引用ですら制限されている点からして、芳文社は自社の作品についての批評を拒否するようになったと捉えることさえできてしまいます。

表現と批評を重視すべき立場である出版社がこのような立場をとるとは考えたくはないですが、現実としてこのような態度をとっている以上上記の捉え方をされるのも無理はないと思われます。

しかしこの点については、複数ページをスクリーンショットして公開してしまう可能性を考えれば、著作権上の兼ね合いというものがありますので、どうしても賛否両論となるところはあるでしょう。

ただ、現在報告されている中でiOS版ではスクリーンショット制限あり、ブラウザ版では特に制限なしとなるなど、技術的な問題なのか、ないしは理由が不明な点も残るように思えます。

これ以上については今後の推移を見守るしかないといえそうです。

 

③UI周辺(検索・リンク機能、閲覧機能)の機能削除と悪化

検索機能についてはこれまでも多くの意見があるところでした。

例えば、アンソロジーコミックを検索しようとすると作家名では(原作作家でも参加作家でも)検索できない、本棚機能を作家順にソートできない……といったところです。

 

今回のアップデートの結果、本棚や検索については改善されるどころか、今まであった本棚のソーティング機能を潰すという暴挙を達成したのです。

並び順は唯一固定となってしまい、タイトル順からの推測だったり購入日が新しい方からの推測、ないしは最後の読書日からの推測もできなくなってしまいました。

しかもおそらく最新刊の発売日が新しい順という、全書籍の発売日を暗記している人であれば問題ないですがまずそんな人はいないので、ほとんどの人にとっては本を探す上ではそこそこ面倒くさい順番での収載方法のみになってしまったのです。

更に言えばこれは"おそらく"の順です。記載順については何も記載されていないため、この順番だ!と断言することもできません。非常に不親切な仕様です。

これにより、今まで購入した書籍が多い人ほど、「本を探す」という読書体験にたどり着くまでの動作がこれまで以上に面倒臭くなった状態となってしまっているのです。ヘビーユーザー各位に対する素晴らしき仕打ちです。

 

また、COMIC FUZの目玉機能の一つと言えば、週刊漫画Timesまんがタイムきらら系各誌の発売日同時サイマル配信です。

他の電子書籍サイトでは紙版での販売から半月~1か月遅れになる配信開始を、FUZでのみ同時に開始できるというものです。

これについて、今まではトップページに各雑誌のメニューへのリンクが張られていらのですが、そのようなものはアップデート後には無くなりました。従って月間プランか本棚か、その辺りのリンクをたどっていかなければ雑誌ページに辿り着けなくなってしまったのです。もちろん初見でこんな所に辿り着くのは至難の業です。

先ほどヘビーユーザーほど使いにくくなったという話をしましたが、ほぼ月刊誌の購読のみに使っているようなライトなユーザーに対してもユーザー体験の低下を招いているのです。今回のアップデートは一体誰のために実施したのでしょうか、よく分かりません。

 

この他、ブラウザ版では、アップデート前に存在していた書籍表示画面の拡大機能さえも使えなくなりました

これにより、特にカバー裏ページなど縮小されたページの情報を読もうとすると、基本的に小さすぎる文字を読み取る必要が生じてしまったのです。

文字が小さすぎて読めないうえに、ルーペを使ってもきっと解像度の関係で読めることはなくなっているのでお手上げです。

パソコンの大型・小型の二極化や持ち運び対応な端末なども増加している中で、その流れに反して画面の小さな端末からのアクセスはしないでほしいというメッセージでしょうか。そうであればぜひとも各会員に対して、最低限きらら月刊誌が紙の雑誌と同程度の快適さで閲覧可能な程度の大型ディスプレイの提供もしてほしいものです。そうでないのなら、機能削除については本当に理解に苦しむところです。

 

④画質の大暴落

今回のアップデートで最悪の改悪といっても過言ではないでしょう。

 

漫画はあくまでも芸術の作品の一つであり、さらに細部にまでこだわって描かれていることも多く、印刷でも気を使うべきものであると考えています。当然、電子書籍であってもその理念は変わるはずがありません。

今までCOMIC FUZでの画質は電子書籍各サイトの中でも比較的良い方で、特に月刊誌の画質はかなり美麗といっても過言ではない状態でした。これを求めてFUZを使用していたという人も多いことでしょう。

特にまんがタイムきらら系列の作家にはイラストレーター出身の方も多く、当然読者としてもそのような絵の細かさを求める人も少なからずいますし、編集部もそれに合わせて、特に単行本に対しては表紙、カラーページ、本編、細部までこだわっているはずなのです。これに対して読者は定価で1冊880円、本によっては画集などそれ以上、決して安くない金額を払ってきたのです。

 

今回のアップデートで、その全てが覆されました。裏切られました。

 

私自身が「画質厨」でないと言い切ることはできません。しかし、そうでない人にもこの差は歴然でしょう。

各作家さんがこだわり抜いて書いた細かい文字を、もはや今のFUZでは見ることはできません。

一枚物のイラストでさえ、その粗捜しをするまでもなく状態が悪化していることは容易に確認できます。

前述の拡大不可も併せて、マンガの絵に関するユーザー体験は格段に悪化したのです。それも先述の通り相当のクオリティを求められているきららを含め、です。

 

他の電子書籍サイトでの画質のレベルが5だとして、今までは単行本で7、雑誌では9程度のクオリティを確保していたのがCOMIC FUZでした。

それが今回のアップデートで、3を通り越して1まで落ちていったのです。

サイズ削減の為なのでしょうか。この5Gがサービスインして高速通信が加速度的に進んでいる中で、その流れを見事に逆行して、ほとんどのニーズを無視して時代遅れの3Gの皆様方にも優しいサービスを作り上げようとでもしたのでしょうか。

あるいは電子出版の需要の高まりの中においてあえて逆行して電子書籍の弱みを見せつけ、紙媒体への逆行を促したい行動なのでしょうか。

 

特に今回のアップデートまでに書籍を買ってきた人にとっては、今日を境に今まで"保有"していた同じものが突然クオリティの急落したものに置き換えられた状態なのです。後出しジャンケン、あるいは後出しぼったくりと言われても過言と言い切れない状況になってしまいました。

きらら各誌に掲載している作家さんの一部からも、今回の画質については否定的な意見が出始めています。

 

今回のアップデートはもはや品質管理がどうとか敬意がないとか、そういったレベルの話では済ませられません。

はっきり言って全体的に、読者も作家もきらら編集部もまとめてバカにしているとしか思えない状態になっています。

出版社が直営で運営している電子書籍システムとは到底思えません。

 

誰をターゲットにして、どこを改善したかったのか。

この結果に誰も異を唱えることはなかったのか。

そして、そもそもアップデートを通じて芳文社は何をしたかったのか。

何の理念も見えてきません。

何も分かりません。

 

 

どうしてこんなことが起きてしまったのか

ここまでの状況悪化が、理由なく起きるはずがありません。消極的なものだとしても、必ずこの状態に至った原因があるはずなのです。それについて、個人的にですが少し考えてみました。

ここから先の話については、どうしても私も芳文社・FUZの中の人ではないので、推測の域を出ない部分もあります。

但し、応用情報技術者資格を持つ(そうです実は試験受かってました)者の視点として、外から見てもいろいろと思うことがありましたし、システム開発やその他プロジェクトの推進という観点で、あるいはその他幅広い意味でのサービス提供といった面で、反面教師として学ぶべき内容も多く感じられましたので、書き連ねていこうと思います。

その点悪しからずご承知おきの上ご覧ください。

 

■その開発、1から丸投げしていませんか?

流石に1中小出版社である芳文社が自社単独でシステム開発をしているとは到底思えません。そこにはSIにせよ、他の方式にせよ、必ず他社の介在があるはずです。

他社委託であれば、流石に全行程の1から10まで自社のみで責任を負うということも難しいでしょう。

 

しかし、今回のアップデートには、出版社としての芳文社の意思を一切感じませんでした

 

いくらシステム開発を丸投げしているとしても、ユーザー企業がその名においてサービスを提供している限り、システムを導入しており、かつそのシステムについての顧客に対する品質確保や説明の責任を負うべきはユーザー企業です。

ベンダー企業に対しての責任確保の話はその先、ユーザー企業とベンダー企業の間にあるべきものです。

 

システム開発では様々な方式・モデルがありますが、どのような方式であっても大きく下記の工程に分かれ、この順で進んでいくことが多いです。(開発モデルによる違いは、各工程での立ち止まり方や合意方法、次工程への進め方や前の工程への戻り方によるものが大きいです。)

  • 要件定義 ……このシステムで必要な要件等について合意
  • 外部設計 ……UIや機能など、外的に見える部分を設計
  • 内部設計 ……システム内部のプログラム構造を設計
  • 実装 ……実際にプログラムをコーディング・開発
  • 単体テスト ……開発したプログラムごとで単体でテスト
  • 結合テスト ……システム全体としての動作のテスト
  • 移行・運用 ……サービスイン

今回上記の推定通りなら、今回のアップデートプロジェクトはユーザー企業(芳文社)とベンダー企業(開発者)との協業であると思われます。

一般的に実装等はベンダー企業が中心となって推進していくため、どこまでユーザー企業がベンダー企業に対して口を出していくかという点は場合によってまちまちですが、少なくとも要件定義~外部設計、結合テスト~運用の各フェーズではユーザー企業がその品質を評価すべきと考えられます。

 

よって、文字通りシステム開発の1から10までをベンダーに丸投げ」という事態は有り得ない"はず"なのです。

 

今回のアップデートの中では、今回の問題に上げた事項が要件定義として、あるいは外部設計として適切に検討されてきたのか、甚だ疑問を感じます。

先述してきたアップデートの目的や理念は、元々有ったとしても少なくとも結果としては何も反映されていなかったのですから。

 

設計・テスト工程に対して、芳文社は責任のある立場にて意見をし、その結果を確認したのか。

また、最終的な移行前に問題であると声を上げられる人間はいなかったのか(もしくはそのような声は跡形もなく潰されていったのか)。

サービスインしてからでないと気付けなかった話なのか。

このような点について、顧客に出版というサービスを提供する立場の出版社として、しっかり考えてほしいと思っています。

 

(もしこのような工程にしっかり参画してのこの結果であれば、この指摘は一切の的外れとなってしまうので申し訳無いです。そうだとしたら、もはや芳文社さんが出版社として必要な最低限の能力を一切持っていないという話に変わっていってしまいますからね。)

 

■どうしてこのサービスが選ばれているか、理解していますか?

先述した工程のうち、要件定義の中では特にそのシステムに対する分析も必要となってきます。

特に今回のような現行存在しているサービスに対して大規模な改変を加えることが目的となる場合、この現行サービスについての調査や分析も重要となってきます。超上流工程、あるいはストラテジーとも呼ばれる工程です。

 

現行システムは今までどのように使われてきているのか。

顧客のニーズ(潜在的なものを含む)はどこにあるのか。

現行の顧客がこのサービスを利用している理由は何か。

あるいは満足していない点はどこか。

新規顧客を誘致するのに必要な点は何なのか。

また現行顧客を流出させずに継続利用させるのに必要な点は何なのか。

今少し思いつくだけでも、このような点については必ず分析が必要であると考えられます。特にシステム開発の意思決定について重要な役割を持つ上層部では、分析の重要性が増してくるものです。

 

先述した画質の話、それから検索の話など、少し考えればこの辺りが重要なファクターになるという点はすぐに出てくるはずです。

どうしてこのような話が出てこなかったのか、もしくは出てきたが分析内容として切り捨てられたのか。この辺りは分かりませんが、いずれにせよ分析の時点で既に今回のアップデートは正しく進まなかったものとして推定せざるを得ません。

 

自己の強みや課題を見つけ出すことは就活生にとって必要とされている能力の1つですが、これは企業全体にとっても重要だということを認識できると思います。

 

■機能を削除する前に、その機能がなぜあったか考えましたか?

前項と同じような話をしてしまいます。

既存のシステムに対して存在している機能については、何かしらの理由があったはずなのです。

少なくとも開発の時点でこういう事由でこの機能が必要になっただとか、あるいはこの機能が無いとアルゴリズムが上手く成立しないといった理由もあるかもしれません。

 

このような機能をすべて消すなとは言いません。しかし、アップデート等で機能の一部を削除するとなった場合、なぜその機能があったのか、あるいはその機能を使っている人はどれだけいるのか、そして削除した場合の影響はどれほど出るのかについては少なくとも、十分に熟慮が必要だと考えます。

 

顧客がこれらの細々とした機能を利用しているとしたら、これについて「有ってありがたい」といった意見が出るのは稀です。特に最初から実装されている機能であれば、顧客から見れば「あって当たり前」の機能に成り下がっているものです。

このような表に出てこない意見こそ、分析の時点で十分に検討するべきなのです。

機能の重要性に全く気付かず、そのまま機能を削除するものとしてサービスインまで至ってしまい、これについて顧客から大量に不満が出てしまえば、十分に問題となりますし、現にそれが起きているのが今のFUZです。

 

■スケジュールに無理はありませんか?

システム開発のみと言わず、この世のプロジェクトと呼ばれるものの多くには、予定スケジュールが存在します。

皆さんも経験則でお分かりかもしれませんが、予期しないトラブル等はいつだって降りかかってきますし、スケジュール通りに物事が進まないということは多々起こりうるものです。

 

しかしそのようなトラブルが起こりうると考えて、起こりそうな事象を予測し、事前に対策することはできるはずです。

システム開発であればスケジュールに対して余裕を持たせる、もしくは時間的に長く掛かる恐れのある制約が生じそうな工程については先に済ませておく、などの対策はできるでしょう。

これについてもシステム開発のみならず、長期的なプロジェクトやサービスにおいては重要になってくる概念ではないでしょうか。

 

①の作業遅延については、42時間の作業のうちにこのような余裕時分の見込みを持たせたスケジュールを組んでいたのかという点が非常に気になります。

特に月額課金制を採っているサービスが主要サービスを含む6時間以上のサービス再開遅延を引き起こしたことは、極めて稀と評価せざるを得ないですし、本来であればその外側にある程度の余裕時分を見積もり、加算していたはずでしょう。

 

この工程は「移行」の計画に含まれてくるものであり、以降の前か若しくは要件定義・外部設計部分であらかじめ定められているもののはずであり、当然にユーザー企業も参画しているべき工程のはずです。

このような計画について無理がなかったか、検証する余地は十分にあるといえそうです。

 

とにかく今、COMIC FUZに求めたいこと

とやかく長文を書いてきましたが、今のCOMIC FUZは全体的にアップデート前よりサービスの質が全体的に凋落しているという評価をせざるを得ません。

また、そこに至るまでの芳文社におけるシステム開発プロジェクトの参画・進行方法についても、現状を見る限り大きく問題を抱えているようでしょう。

特に出版社としての立場で、書籍の読者が(電子書籍の中でも特にCOMIC FUZに対して)抱えているニーズを、システムの中に対して十分に生かし切れていないようにも考えられます。

 

今後直近の話をすれば、まずは従前提供できていたはずの機能および性能を復活させ、既存顧客の流出をいち早く阻止することが重要となるのではないでしょうか。

そして今後の開発の中では、ユーザーのニーズを十分に理解した上で、システム開発の工程に積極的に参画し、出版社という立場としての意見を出していくことが求められることになります。

 

これからのCOMIC FUZサービス水準の回復と、今後の芳文社におけるプロジェクト改善に向けて、一顧客としても関係各所のより一層の努力を望みたいと思います。

 

この記事についてご意見・補足・反論等ございましたら、是非私(三品湊)まで積極的にお声がけください。

twitter.com

 

P.S. 月額のプレミアムプランは、サービスがちゃんと回復したら加入再開しますよ。そこはちゃんと。

 

追伸 11/5

上の記事を書いたのが2日前ですが、本日大きな動きが2つ程有りましたので追記します。

かなり早い対応でそれぞれの解決策が提示されました。

私がブラウザで確認してみたところ、画質についてはかなりの改善が見られたと思います。

よってある程度改善が見られたと思いますので、問題提起としての役割は終えたと思います。

ただ、一応歴史としてこのような事があったという点で、記事部分はそのままとして残しておこうかと思います。

数日で品質回復に尽力いただきましたすべての方に敬意を表すとともに、今後の更なる発展を願っています。

プレミアム会員も多分再開させときます。はい。忘れなければ。

きららのおと、2020。

この記事はきららアドベントカレンダー2020 第24日目の記事なはずでした。

adventar.org

 

さて、今年はきらら作品4作品がアニメ化するという、大豊作な年になってくれました。おちフルがちょっと延期されてしまいましたが、無事にへんたいあらわれて放映されてくれたので何よりです。

 

今回の記事では、そんな2020年きららアニメ作品について、音楽という視点からほんのちょっとだけ解読してみたいと思います。

 

・恋する小惑星

koiastv.com

凄い。恋アスという空気感をOPとEDも作り出してくれてる。

今まできらら系の作品だとほとんどが主要キャスト複数人が歌うポップ調な歌……というイメージでした。

ところがどっこい、恋アスの場合、OPもEDも複数人じゃないし、ポップというよりはバラード調。OP(『歩いていこう!』)はパーカスもちょっと入ってるので軽めな局長にはなっていますが、EDは完全にしんみり系。初見の時のこの組み合わせできららのテーマ曲として成立するのか……という驚きがあったとともに、この恋する小惑星という作品が持つ世界(特に宇宙と鉱物)という対象を考えてみれば、ちょうど似合ってる存在であるともいえるのではないでしょうか。

また、最近のアニメソングでは転調が多い中、あえて転調無し。しかも偶然か狙ったか同じヘ長調とした曲で、続けて聞くのにも適している組み合わせですし、歌うにもちょうどいい感じ。
さらに(こみがの『涙は見せない』とかにも共通するけど)ED(『夜空』)のイントロに本編の余韻を乗せつつ、ED映像に持っていく流れが最高。恋する小惑星がもつ「韻」と「深さ」を見せてくれたように思えます。

 

・球詠

tamayomi.com

OP(『Never Let You Go!』)、攻めてますね。
だって麻枝さんですよ? Keyの麻枝准さん作詞作曲ですよ? 

いい意味できららということを忘れさせてくれる曲です。ブラバン強めのイントロから、移動ミを基調としたメロディー……、完全に「きららアニメ」ではなく、「野球というスポーツを見せてくるアニメ」という気概が伝わってきます。

一方でED(『プラスマイナスゼロの法則』)はしっかりきららというイメージな曲。先述した、キャストたちのかわいい系な曲を出して、本編とのギャップをしっかり出してくれているように思えます。

球場の入口と出口、ないしは球場の中と外、2つの側面を2つの曲で示してくれてるようにも思えます。

 

 

・おちこぼれフルーツタルト

ochifuru-anime.com

凄くしっかりアイドルしてるし、完全に現場で叫びまくりたい曲。

まずPVでED→OPの順で流れてたのはびっくり。第1話の放映を見るまでワンダー!の方がOPだと騙された人も多いのでは。(自分は騙された)
ついでに両曲とも似たような入りをしてて、アニメ作品としてのおちフルを「一体感」としてとらえられる曲でもあります。

OP(『キボウだらけのEVERYDAY』)、アニメ初回で見たときに「こんなにセリフも効果音も入れるの!?」と思っていましたが、まさかCDでもそのままだったとは。この効果音とかボイスとかを含め丁度音楽とも歌詞ともリンクしていて、OP曲の世界観を増幅させてくれてるようにも思えます。
さらにAメロの前半だけ転調で低くなっており、さらに2度の転調を経てBメロでは元の調に戻り、さらにサビ後半の前と同じ音程からの4連続4分3連符、「フルーツタルトです」の畳みかけなど、意外に構造が物凄く複雑で面白い曲です。何度でも聞きたくなります。

ED(『ワンダー!』)の方ですが、サビに入るまでは実際OPに近い雰囲気も見受けられるので、OPと間違えるのも納得いきます。しかしサビを聞くと半音を多用に使いつつしっかり落ち着かせていくEDとしての雰囲気をしっかり持ってきており、さらにサビを1度聴けばそれまでのパートも不思議とEDのためにあったように聞こえてくるという、まぁ何とも不思議な局なのです。

更に劇中歌『タルトなキモチ』がしっかりアイドル曲してますね。アニメでありながら合いの手を叫んでみたり腕を振ってみたくなったりした曲です。映像演出を含めつつ、アイドルの現場感が伝わってくる曲でした。

全体的に何度でも聞きたくなる、面白い曲をが出来てるように思いました。

 

 

ご注文はうさぎですか?BLOOM

gochiusa.com

今までのごちうさを上手く踏襲しつつ、違いもまた見せてくれた曲たちですね。

1期『Daydream Café』が変ホ長調、2期『ノーポイッ!』がホ長調なのと比べると今回OP(『天空カフェテリア』)はロ長調です。いきなり7~8半音も上げてきてます。(ちなみにDMSの『セカイがカフェになっちゃった!』もホ長調、SFYの『しんがーそんぐぱやぽやメロディー』はそこから半音高いヘ長調と、今までは近い調にまとまってました。)
全く雰囲気を変えまくってきた、というのがPVでも分かった方が多いのではないでしょうか。ちなみに曲の音域は低めの位置としているため、特段の歌いにくさとかは生じていないようにも思えます。音域をあまり変えずにガランと雰囲気を変えてくる、でもしっかりごちうさのテーマ曲としてのかわいさも持ち合わせてて、しかしながらしんみりさもちょっと混ざってる……達人技としか言いようがないです。

ED(『なかよし!○!なかよし!』)も、3人のフリーなパートから始まり、探ってる感じのメロディーを踏まえつつ、サビで溜めが入ってからいきなり転調し、チマメ隊の結束を見せてくれる構成となっており、すごく音というストーリーとしてまとまってくれてました。
ちなみにCD収録の2番は1番のメロディーを一部カットした構成でもあり、これまで以上に曲の中で変化を見せてくれてました。また、Cメロの流れの変わり方もこの印象を強めてくれたように思えます。

ついでに2期が1期のBGMを使っていた以上に、3期では前期までのBGMを多用しているように思えました。今までの路線を踏襲しつつ、新規曲の印象もしっかり残してくる、ここにごちうさとしての伝統と進化の両面を感じました。

今までのごちうさと新しいごちうさの両面を見せてくるごちうさ3期、これから先の展開にもさらに期待です。

 

2020年、それぞれのアニメに合った形で、このように多くの曲が生まれてきてくれて本当に嬉しく、またいつまでも楽しんでいられているような気がします。

 

来年、ゆるキャン△アニメ2期が決まってますが、この後にどの作品が続いてくれるのか、そしてどんな曲が生まれてくれるか。

楽しみに待ってみたいです。

 

 

 

 

ちなみに余談で宣伝ですが、弊サークルではそんなきらら作品とかを音楽で表現した作品を作ってたりしてます。

いろんな余裕があったら聞いてみてくださいね。

l-p.booth.pm

 

 

 

 

 それでは、2021年がさらに良い年になりますように。